オーディションの年齢制限にはちゃんとした理由があります
一般の企業では、従業員を選ぶために採用面接が行われます。また大手企業など応募人数が多い場合には、1次選考として履歴書による書類審査や、筆記試験が設けられている場合もあります。これによって人数を絞ったり、企業が必要とする能力が備わっているかを見るのです。一方、女優や俳優、モデルやタレント、歌手、最近多くなってきたアイドルといった、一般的に芸能人と呼ばれる職業になるためには、オーディションを受けなくてはなりません。オーディションの応募には、企業の面接ほどの学歴や職歴といった条件はありません。今までの経歴がまったくなくても、演技力があったり、容姿に優れていたりすれば、今後のレッスンを通して、事務所の戦力となる可能性があると判断し採用してもらえます。そういった点では、より多くの人に受験資格があるといえますが、1つだけ企業の面接と異なるものが、ある程度限定された年齢制限があることが多いということです。いくら容姿がよかったり、意欲があっても、指定された年齢の範囲内でなければ、受験することもできません。
多くのオーディションでは、20代までの制限とされています。これはどんな業種のオーディションであっても、合格後すぐにデビューできることはほとんどありません。オーディションに合格したあと、その業界のプロによる厳しいレッスンを受けることになります。その厳しさゆえに、せっかくオーディションで勝ち残っても、挫折してしまう場合もありますし、実際に思うように結果が出ず、デビューできない可能性もないとはいえません。このように、オーディション合格後、デビューまでに時間がかかってしまうことから、多くのオーディションでは年齢制限が設けられています。しかし、ドラマや映画、CMなどの内容によっては、年配の俳優などを募集する場合もあります。
子役タレントのオーディションは、小学校入学前までに設定されていることがあります。これは実際にオーディションに合格した場合、ある程度年長の子になると、子役として活躍する期間が少なくなってしまうためです。ただし、子役タレントから、そのまま長く芸能界で活動し続ける人もいます。子どもの時から厳しいレッスンを受けることで、高い演技力や歌唱力といった実力をつけることができ、大人になってからも活躍できる可能性が高くなります。中には赤ちゃんタレントとして、オムツのCMなどに出演していた子が活躍し続けることもあります。応募時は親の意思ではあるものの、実際に養成所でさまざまなレッスンを受けることで、演技や歌の楽しさを知り、残ることを選ぶ子もいるからです。子役タレントの引退に決まりはありませんが、子役としての活動のみで芸能界を引退する場合は、一般的に小学校を卒業するタイミングが多いです。
オーディションで合格するための一番の近道は、養成所に入りレッスンを受けることです。無所属で受けることができる映画やドラマのオーディションもありますが、養成所に所属している場合と比べて、難易度は上がります。中には、小さい劇場で1日だけ上映して終わるものや、チケットを買うノルマがあったりする場合もあるので注意が必要です。また、そのまま無所属で活動することもできますが、ギャラの交渉やスケジュールの調整を自分ですべて行わなければなりません。家族がサポートしてくれる場合もありますが、業界に詳しくない素人が交渉を行う場合と、芸能事務所のスタッフやマネージャーが行う場合とでは、結果が大きく異なることもあります。また、所属している事務所や養成所が、仕事をもってきてもらえる場合もあり、オーディションを受ける際にも、事務所の名前によって合格率を上げることもできます。個人での活動となると、マネージメント会社が入らないため、自分の取り分は多くなりますが、そういった面倒な作業も全て自分で行わなければならないという点に注意しましょう。